月間ホームページ 2003年4月号

電子情報システム工学科

情報メディア工学講座



今回の月刊ホームページでは、私たちの研究室で開発研究を行っている 「省エネタイプ・ネットワークサーバ」をご紹介します。



1. はじめに

近年のIT(Information Technology; 情報通信技術)とその利用分野の急速な展開には めざましいものがあります。 ITによってわたしたちの生活がより便利なものになると期待される反面、 電力消費量の増大によって 地球環境に与える影響 が懸念されるのも事実です。 これについて、 2000年8月に報告されている「ITが地球環境に与える影響調査」(総務省)では、 「情報通信インフラ・機器による環境負荷(二酸化炭素排出)は、今後、 サーバーやパーソナルコンピュータ等の運用段階を中心として、 大きく増大する可能性があり、環境負荷を増やさないようなITの導入が図られる べきである。 このため、情報通信インフラ・機器の省エネルギー化等をさらに進める必要がある。」 とまとめています。

2. ITの発展経緯

2.1 コンピュータの性能の向上

 人間に替わって面倒な計算を自動的に行う計算機を作りたいという試みの記録は 17世紀のパスカルにまで遡りますが、 現在使用されているコンピュータにつながる 初めての電子計算機は1946年に登場しました。 それ以来 コンピュータにはさまざまな改良が加えられ、 当時は思いもよらなかったほど高速で安価なコンピュータが 手に入るようになりました。

2.2 コンピュータの発展

 初期のコンピュータは科学計算のためのもので、 そのしくみをよく理解したユーザがプログラムを作成して実行するという 利用方法がとられていました。 けれどもコンピュータの性能向上とともに大規模なプログラムが作成、実行されたり、 同時に複数の仕事を割り当てたりするようになりました。 コンピュータの利用方法が複雑になると 人間が行わなければならなかった操作を省力化し、 装置を効率よく稼働させるために OS(オペレーティングシステム) が登場しました。 現在ではユーザはプログラマを指さなくなり、 コンピュータの利用範囲は事務処理、娯楽、通信へと拡大されています。

2.3 インターネットの発展

 コンピュータネットワークのはじまりは、 ひとつの大型コンピュータに集中していた情報や機能を分散させ、 1箇所が破壊された場合にでも機能を維持できるようにしようという アメリカ国防省の試みです。 その後、参加組織や国がだんだん増えて 世界的なネットワークが形成されました。 今日のように インターネットが普及 した理由として、 コンピュータが複雑な処理を高速に行うことができるようになったこと、 専門家でなくてもコンピュータを利用できるように使い勝手がよくなったこと、 それによるユーザ層の拡大によってビジネスから娯楽まで幅広い利用方法が提供され、 それに応じて通信環境も整備されたことが挙げられるでしょう。

3. 省エネタイプ・ネットワークサーバ

3.1 省エネタイプ・ネットワークサーバの考え方

 インターネットの利点は、時間や場所を問わず様々な情報をやりとりすることが できる点にあります。 このサービスを支えるためには、ネットワークサーバやネットワーク機器は、 24時間常に動作可能な状態になっていなければなりません。 けれども、これらの機器は常に同じ量の仕事を課されているのではないため、 比較的負荷の軽い時間帯には無意味な電力を消費することになります。 したがって、必要な時に電源が入り、 仕事が済んだら電源が切れるようになっていれば無駄がないように思われます。 けれども、現在のコンピュータは高速化、高性能化の要求に応えるために、 ハードウエアの面でもソフトウエアの面でも複雑化、大規模化し、 休止状態(あるいは電源断の状態)から動作状態に達するまでにかなりの時間がかかる という問題があります。  私たちが提案する省エネタイプ・ネットワークサーバでは、 必要に応じて電源をON・OFFし、 電源が入りしだい数秒で動作状態になるネットワークサーバを構築することを 目指しています。

3.2 構築法

 提案するシステムは、下に示すように複数の小機能・小規模プロセッサ (サーバ)をHUBなどでネットワ−ク接続する 機能分散・情報分散型サーバシステムです。 プロセッサではパイプライン処理機構やキャッシュなど 複雑なハ−ドウエアを使用せず、 ソフトウエアも単機能のみとし、 OSは余分な機能をすべて取り除いた専用のものを使用します。 マスタ−プロセッサはアクセス要求によって他サーバの電源をON・OFFするとともに、 各サーバに処理を振り分ける機能をもちます。 サーバにはハ−ドディスクを搭載せずに1GB程度のフラッシュメモリで代用し、 電源のON・OFF(CMOSタイププロセッサであればクロックのON・OFF) による故障が少なくなることを期待します。

    


4. まとめ

 インタ−ネット技術を支えるネットワークサーバやネットワーク機器は 24 時間 稼働できるようにしておかなければなりません。 けれども、まったく利用されていなくても動作状態にしておくのは無駄なことです。 インタ−ネット利用の急速な拡大とともに増大することが予想される 電力消費を抑え、 かつ現在の機能や信頼性を維持できるような省エネタイプのコンピュ−タシステム の改発はわたしたちの重要な課題のひとつといえます。


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