月間ホームページ  5 月号

電子情報システム工学科 

計算機工学講座

 

 わが研究室では、セキュリティ、モバイルコンピューティング、ネットワーク、符号化の研究に取り組んでいます。
 今回の月間ホームページでは我々が行っている、Quaternionによる暗号化CDMAについてご紹介いたします。


<目次>

1. はじめに 〜情報セキュリティついて〜
2. Quaternionを用いた暗号システム
3. QuaternionによるCDMA 〜Q-CDMA〜

 

はじめに 〜情報セキュリティについて〜




 現在、情報システムにおいて、セキュリティが非常に重要になっています。デジタルデータを扱う場合、攻撃者によってデータの盗聴や改ざんがあった場合、データが劣化しないので、そのデータが盗まれたデータなのか、または改ざんされているのかがわからないため非常に問題になってきます。このため、これを防ぐ暗号化技術は必須ともいえます(Fig.1)
 我々は現在、新しいセキュリティシステムの開発のために、Quaternionを使った暗号システムを研究しています。

Fig.1 情報セキュリティの問題


Quaternionを用いた暗号システム



 これは従来の暗号システムの鍵となる部分Quaternionによって実現し、より解読困難な暗号を生成することを目的としています。
ここで従来の共通鍵暗号システムを簡単に説明します。下記のFig.2を見てください。

Fig.2 従来の暗号システム


 図にある通り、鍵という莫大な桁数を持つ数値を元に、送りたい文章(平文)をシフトしたり、転置させて一見何が何だかわからない文章、暗号文を生成し、送信します。
 一方受信側では同じ鍵を用いて、暗号化と逆の工程をたどり復号化し元の読める文章に直すのです。しかし、このシステムでは鍵の桁数(ビット数)等に暗号としての精度が強く反映しますし、実際今では精度の低い暗号システムとなっています。そこで、鍵に当たる部分にQuaternionを用いるわけですが、Quaternionには以下の性質があるために暗号鍵として大変精度の高いものができると考えています。
  1. 元来、CG等に使用される概念であり、データを3次元空間的に扱える。
  2. 回転を多重に加えることで、元のデータの把握が非常に困難である。
  3. 回転の元となったQuaternionさえ分かっていれば、元データに戻すことが容易。
以上の点を利用し暗号鍵として使用します。その概念は基本的には従来の鍵暗号システムと同様であり、概念図は下記(Fig.3)の通りです。




Fig.3 Quaternion 暗号システム

 送信データをビットごとに区切り行列として扱い、それにQuaternionによる回転を数度加え新しい行列を生成します。これにより暗号化されるわけです。そして受信側では、Quaternionの逆行列を加える事で元の行列に戻し読める文章に戻します。元々のQuaternionが分からない限り、複号することはできないため、とても精度の高い暗号システムが構築できると考えています。
 実際、音声信号をQuaternionによる暗号化をした結果が、Fig.4です。オリジナルのデータがQuaternionによりスクランブルされ、また正しく復元されていることが確認できます。

 

Fig.4 Quaternionによる音声信号の暗号化

QuaternionによるCDMA〜Q-CDMA〜



 CDMAでは、符号を用いて、通信の多重化をします。多重化のためにCDMAではスペクトラム拡散という拡散符号を用いて実現しています(Fig.5)。



Fig.5 CDMAでの多重化の例



 我々の研究ではこの拡散符号にQuaternionを用いようとしています(名づけてQ-CDMA)(Fig.6)。
先ほどの暗号システムにもあったような、暗号鍵を各端末に持たせ、それにより拡散します。
 Quaternionは4元超関数であることから4パラメータが暗号鍵として使用可能で、秘匿性がより重視された無線通信が可能となります。



Fig.6 従来の無線通信と現在開発中のQ-CDMA

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